今年も1年を振り返る頃となりました。なんといっても,今年一番大きな出来事は,世界陸上ヘルシンキ大会において,尾方剛選手が悲願の銅メダルを獲得したことです。このヘルシンキでの快走を支えてくれたのが,一杯のスープでした。
尾方選手には,練習で疲れたときや,レース前に飲むスープがあります。鶏肉,ショウガ,ネギ,ニンニクなどが入った,おなかにやさしく,身体が温まって,元気が出るスープです。TBSの土居アナウンサーが取材に来られたときにその話になり,ヘルシンキでも作ってもらえるよう土居さんから日本料理店にお願いしていただくことになりました。
そのお店は,花沢さんご夫妻(20代の美男美女カップル)が経営する「蓮」というお店でした。レース前3日間通い,そこでいただいたスープは,とても心のこもった美味しいものでした。
レース後,テレビ出演,応援団との食事会を終え,花束が2つ(個人銅メダル,団体金メダル)あるうちの一つを,お礼のため「蓮」に贈ろうということになりました。というのも,「世界レベルの選手に食事をつくることは,とても責任が大きすぎてできない」と一度は断られたのを,重ねてお願いし,ひきうけていただいたのだと聞いていて,軽軽しく頼んでしまったことを申し訳なく思ってもいたからです。
お店には,奥様だけがおられました。顔を見るなり「私感動して・・・・」それからは涙で言葉がありませんでした。相当なプレッシャーがあったのでしょう。その涙は,銅メダルとともに一生忘れられないヘルシンキの思い出となりました。 (坂口泰)
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