世界中を熱狂させた、ワールドカップサッカー。ワールドクラスのプレーは本当にすごかった。残念ながら、日本代表は予選リーグ最下位という現実をつきつけられた大会になってしまいましたが。
ポストW杯で俄然注目を集めたのは、次期監督候補、イビチャ・オシム氏でした。私はこの騒動で初めて知ったのですが、その発言を新聞記事で見て、すごい指導者だと思いました。
オシム氏の日本代表再生論から抜粋してみます。「日本が世界王者になりたいのなら、別の監督を探すべきだ。日本代表が世界王者になれる保証などどこにもない。すべての国が勝つために努力している。そういう現実を見つめることが大切だ」、「今の日本代表はできるサッカーと、やろうとしているサッカーにギャップがありすぎる。みんながっかりする気持ちはわかるが、日本はW杯に出場できただけで満足すべきだった。なぜなら他の国も着実に力をつけているからだ」、「お金をつぎ込めばいいサッカーができるわけではない」、「オーストラリアは自分たちよりも強いチームがあるということを国民も知っている。『負けることもある』という心の準備を与えている。そういう考えをしている国は強い」、「足りないものを探すより、日本人特有のもの、自分たちの道を探すことが重要だ」。
そのとおりではないですか。そしてこれは、その他の競技スポーツにも当てはまることではないでしょうか。
私は、オシム氏の指導哲学の根本にある考え方の一つは「現実を見つめる」ということをではないかと思います。しかし、これは容易なことではありません。なぜなら、塩野七生氏が「ローマ人の物語」の中で、ジュリアス・シーザーの言葉として紹介しているように、「多くの人間は自分の見たい現実しか見ようとしない」からでしょう。
ともあれ、これからオシム監督がどんな言葉でサッカーを伝えてくれるのか楽しみになりました。 (坂口泰)